遺言書保管制度における指定者通知の運用の変更

地方法務局では、遺言書保管制度を運用しています。これは自筆証書遺言を法務局で保管してもらうものであり、特筆すべきメリットとしては、相続開始後に家庭裁判所での検認が要らなくなるということがあります。また、公証人役場での公正証書遺言作成ほどまでには心理的・経済的な負担が重くないということもあります。

 

私(弁護士 山岸陽平)は、自筆証書遺言の作成と、地方法務局での保管手続のサポートを行った経験があります。専門家として、公正証書遺言を勧めたい場面と、自筆証書遺言&法務局保管を勧めたい場面と、どちらもありえます。ケースバイケースでアドバイスが変わってくると思われるので、ご自分の場合でどうなのかをお聞きになりたい場合は、法律相談にお越し下さい。

 

さて、法務局で遺言書を保管してもらった場合、以下のような通知の対象になります。

関係遺言書保管通知
相続人のうちのどなたか一人が,遺言書保管所において遺言書の閲覧をしたり,遺言書情報証明書の交付を受けた場合,その他の相続人全員に対して,遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。
指定者通知
遺言者があらかじめこの通知を希望している場合,その通知対象とされた方(遺言者1名につき、3名まで指定可)に対しては,遺言書保管所において,法務局の戸籍担当部局との連携により遺言者の死亡の事実が確認できた時に,相続人等の方々の閲覧等を待たずに,遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。

この通知のうち、「指定者通知」に関する制度運用は、今年10月から変わったものであり、通知できる人数が1人から3人までに。また、通知対象者として指定できるのが、これまで推定相続人・受遺者・遺言執行者などに限定されていたところ、限定なしになりました。

1人しか通知できず、通知対象にしていた人に何かあった場合には、通知が無意味になってしまった・・・あるいはそのおそれがあるがどうすればいいか・・・という問題があったのでしょうか。

いずれにしても、遺言に関わる専門家の目から見れば、3人のうち1人を作成に関与した専門家としておくことで、相続開始の際に的確に動ける可能性が高まりますから、便利にシフトした運用変更だといえそうです。