医療・福祉の「惑星直列」 データを分かち合い、議論の足場を作ろう

「惑星直列」の2018年

2018年は、▼国民健康保険の財政が市町村から都道府県単位に移行する、▼診療報酬(2年周期)と介護報酬(3年周期)の同時改定があるほか、▼医療費適正化に向けて都道府県が策定した「地域医療構想」が本格的に始まり、▼第7次医療計画と第7期介護保険事業計画などもスタートする。

そのため、2018年は、医療政策の関係者の間では「惑星直列」「当たり年」などと呼ばれている。

すでに、診療報酬、介護報酬の改定についての動向が報じられ、「介護医療院」の創設など、賛否も飛び交っている。

 

財源や人手不足に苦しむ医療・福祉

現状、高齢社会の支え手不足が財政面でも人材面でも顕著であり、事業者側(特に介護事業者)にも困難な先行きが見込まれている。

さらなる財源確保が困難であるので、財務当局は給付抑制に躍起になり、厚生労働省が苦心して政策誘導を行っているが、人材不足の対策が不十分である等の批判が多く見られるところである。

将来的には、ICTや介護ロボットの導入がどのような効果をもたらすか気になるところであるが、サービスは抑制ないし効率化が図られ、利用者にとっても事業者にとっても非常に厳しい状況が続くものとみられる。

 

地域住民や利用者にもわかりやすいデータが必要

都道府県において、地域医療構想の策定が試みられている。住民代表の委員や公募委員が参加し、意見を述べる形は取られているものの、基本的には、行政当局と医療関係者が将来像を先取りして作り上げた流れがすでにある。

利用者、住民(利用者の家族や将来の利用者を含む)は、どこまで議論を知っているか? そして、議論に参加しようとしたときに、どれだけの足がかりがあるのか?

利用者本位であるためにも、また、行政や事業者が硬直的にならず、有意義な取り組みを行っていくためにも、情報やデータを整理した上で、アクセスしやすくすることが必要だろう。

 

個人的には・・・

仕事上「法的責任」や「権利」について関わっていくというだけではなく、さらに医療や福祉の経営やそれを取り巻く状況について知識を深めていきたい。いま問題となっていること、新しい動きについて、把握していきたい。

 

 

金沢法律事務所 弁護士 山岸陽平