高齢者・障がい者が法律事務所に行けない場合の相談方法

 高齢者・障がい者の方々も、様々な法律問題になやまされることがあります。しかし、なかなか弁護士への法律相談にまで到達すること自体簡単ではないというところがあります。

 以下のような事情が絡み合っていることが多いかと思います。

 

1 情報不足、情報を探す手段の不足

 相談できる弁護士として、どこに誰がいるのかわからない。

 弁護士を紹介してくれる機関がどこなのかわからない。

 どうやって探せばよいかわからない。

 弁護士に相談したら何とかなる内容かどうかわからない。

2 心理的側面

 弁護士に会うことがおっくう。怖い。

 うまく話ができるかわからない。

 弁護士に相談したい内容をまず誰かに話すことがおっくう。

 弁護士に相談したいということをまず誰かに話すことがおっくう。

 

3 金銭的側面

 相談料が負担できない。

 相談料が高そう。

4 身体的側面

 自分で法律事務所に行ける身体状況ではない。

 

 このうち、1・2については、私を含め、弁護士からのつなげる努力が足りない面はあります。特に、高齢者・障がい者の方々ご自身が動いて、というよりも、高齢者・障がい者の方に普段接する機会の多い方々(支援者、行政)をつたって、探しやすく、連絡をしやすいようにしていきたいところです。

 3については、弁護士には、健康保険のような制度の適用はないので、直接的に相談料のご負担をいただくことになっています。ただ、相談料の設定は事務所ごとに違います(案件ごとの設定があったり、初回無料になっていることもあります)。

 4については、これも、弁護士がご相談者のご要望に応じて訪問相談をすることは自由なのですが、初めての相談者に対して日常的にそうしたやり方を取っている弁護士は少ないと思います。

 

 なお、3については、日本司法支援センター(法テラス)が、資力の乏しい方のために法律援助制度を設けており、法律相談であれば、同一案件3回まで無料で弁護士に相談することができます。これは、法テラスに直接申し込むのが一般的なやり方ではありますが、法テラスと契約をしている弁護士の承諾があれば、特定の弁護士と約束をして無料の法律相談を受けることもできます。(私は、法テラスの制度を使った無料相談をお受けしています。ご関心の方はお問い合わせ下さい。)

 また、4についても、法テラスは、法律事務所に行ける身体状況ではない方からの申込みにより、弁護士の無料出張相談の援助をしています。これについても、ご関心の方はお問い合わせ下さい。

 

 そして、このたび、認知機能が十分でない方が抱えている法律問題について、地域包括センター、社会福祉協議会、施設、病院などの支援者から申し込みをし、弁護士がご本人のもとに出張するという、法テラスの新しい制度ができました(2018年1月24日開始です)。これは、弁護士にとってみれば、認知機能が十分ではない方との法律相談を支援者の方の協力を得て行うということで、かなりチャレンジングな取り組みになります。

 法テラスへの申込みのほか、弁護士が申込手続をサポートして申込書を作成することもできるとされていますので、ご興味がおありの石川県内の支援者の方は、私までお問い合わせをお願いします。(上記の出張相談が該当するか、この新制度が該当するか分からない、という場合でも、お聞き下さい。)

平成30年1月24日から特定援助対象者に対する新たな援助が始まります。  法テラス|法律を知る  相談窓口を知る  道しるべ

 

 高齢者・障がい者の方に比較的多いのは、相続問題、財産管理の問題、家族関係の問題、消費者被害といったことだと思います。こうした問題について、できるだけ深刻な問題にならないよう、また、権利の確保がなされるようにするために、取り組んでいきたいと思います。